最高裁が集団的消費者被害回復訴訟で初判断
1審2審の門前払い「解釈適用誤った違法」
情報商材の返金義務確認訴訟1審差し戻し
「塾生に3カ月で 16 億円稼がせたノウハウを完全解説した 『仮想通貨バイブル』 を公開する」 などとうたって DVD などを販売した事業者を相手取って、 被害消費者に代わって特定適格消費者団体 「消費者機構日本」 が返金義務の確認を求めた訴訟で、 最高裁第3小法廷 (長嶺安政裁判長) は3月 12 日、 1審2審の判決を取り消し、 1審に差し戻す判決を出した。 1審2審が 「過失相殺と因果関係で消費者ごとに相当程度の審理が必要」 として門前払いしたのは、 消費者裁判手続特例法3条4項の 「解釈適用を誤った違法がある」 と指摘。 「商品購入の経緯も誤信の内容も共通」 「投資ではなく情報商材の購入で、 投資の知識や経験を考慮する必要性が高いとはいえない」 「2段階目の訴訟で審理運営上の工夫が可能」 であることを理由に、 今回の事案は 「過失相殺、 因果関係に関して消費者ごとに相当程度の審理を要するとはいえない」 との判断を示した。 佐々木幸孝・同機構代表理事は 「特例法が本来予定していた適用場面を著しく狭める1審控訴審判決を覆し、 特例法が本来有する活用の可能性を広く認めたもの」 と最高裁判決を高く評価。 「これを契機に、 1審控訴審判決で事実上制約を受けてきた特定適格消費者団体の活動に弾みがつく」 と話している。(相川優子)
消費者庁No.1表示を実態調査
2023年度行政処分9件14社
秋に、景表法上の考え方示す
消費者庁は3月 21 日、 「No.1 表示」 の実態調査に着手すると公表した。 「お客様満足度 No.1」 「愛犬のアイケアサプリ口コミ人気 No.1」 「1番継続しやすいダイエットサプリ No.1」 「初めて住宅を建てる方におすすめの注文住宅会社 No.1」 「海外旅行者が選ぶ海外 Wi-Fi レンタル No.1」 など、 そもそも客観的な判断が難しいと思われる様々な 「No.1」 表示が登場し、 「3冠達成」 「7冠達成」 などをうたって並べられている。 実際に使った人を対象にした客観的調査に基づいていないなどとして消費者庁が行政処分を行なった事業者の数は、 2023 年度9件 14 社に上る。 事業者・事業者団体へのヒアリング、 消費者への意識調査、 No.1 表示のサンプル調査などを行い、 秋に調査結果の報告書をまとめその中で景品表示法上の考え方を示す。(相川優子)
特商法初 No.1広告を違反認定
サンに通販3カ月の業務停止命令
定期購入 表示義務違反も認定
消費者庁は3月 15 日、 特定商取引法で初めて根拠なく 「女性に人気 No.1」 「10 冠達成」 などと表示した No.1 広告を誇大広告として違反認定し、 定期購入契約でダイエットコーヒーを販売していた通信販売会社サン (東京都新宿区) に3カ月の業務停止命令を出した。 定期購入契約の最終確認画面に、 各回の商品の分量や2回目以降の代金、 引渡時期、 返品や解約条件などの表示義務違反があったことも違反認定されている。(相川優子)