改正公益通報者保護法施行後1年半事業者調査
守秘義務違反罰則かかる通報対応従事者
義務対象非上場企業「指定なし」2割
改正公益通報者保護法 (2022 年6月1日施行) で従業員 301 人以上の事業者に義務付けられた内部通報制度の導入率は、 施行後1年半で義務対象事業者 91.5%、 従業員 300 人以下の努力義務対象事業者では 46.9%だったことが4月 18 日、 消費者庁が公表した事業者1万社の実態調査 (2023 年 12 月実施) で明らかになった。 通報件数は、 義務対象事業者でも年間 「5件以下」 が 55%、 努力義務対象事業者では 85% (全平均 63%)。 改正法で唯一、 守秘義務違反に罰則が規定された 「公益通報対応業務従事者」 の指定率の調査はなく、 3カ月遅れて実施した義務対象非上場企業 8000 社を対象にした別の認知度調査で、 18.4%で指定されていないことが判明している。 内部規定も義務対象非上場企業では 23.3%で策定されていない。 5月9日、 施行状況を踏まえた課題を検討する 「公益通報者保護制度検討会」 (山本隆司座長、 10 人) が発足するが、 有効回答率は3割前後で、 設問自体も実態を把握できる調査か疑問が残る。(相川優子)
全行政機関調査
外部通報受理件数府省庁1.8倍
改正で通報しやすく
行政機関への外部の労働者からの府省庁への通報受理件数は、 6月に改正法が施行された 2022 年度は2万 4460 件 (2021 年度1万 3686 件) と前年度に比べ 1.8 倍に増えた。 是正措置を講じた件数も1万 2833 件 (同 7556 件) と 1.7 倍に増えていた。 改正前は 「信じるに足りる相当の理由がある場合」 の通報しか公益通報者保護法の対象としていなかったが、 氏名や通報対象事実の内容、 事実が生じ、 生じるおそれがあると思料する理由等を記載した書面を提出した場合も対象となり、 行政機関への通報が行いやすく改正された。 ただし、 この改正の影響で増加したのかどうかは詳細な分析がない。(相川優子)
消費者委が基本計画策定へ意見
消費者法制パラダイムシフト実現を
地方の支援、国との分担見直し検討を
内閣府消費者委員会は4月 22 日、 2025 年度から5カ年の第5期消費者基本計画に、 「消費者契約法や特定商取引法などの消費者法制度のパラダイムシフトの検討と実現」 を盛り込むべきとする意見書を出した。 消費者行政の体制整備を次期計画期間中の最重要課題の1つとして検討の場を設けることを提言。 検討課題に地方消費者行政への支援、 消費生活相談員の処遇改善、 消費者庁が一元的に対応する業務の拡大可能性など国と地方の分担見直しなどを挙げている。(相川優子)