国の無料の消費生活相談員担い手確保事業
国家資格合格者数 前年度比97人減
1631人受講者のうち239人 就職38人
消費者庁が無料で実施する消費生活相談員国家資格試験対策講座は、 4年目の 2023 年度は、 例年並みの 1631 人 (前年度 1627 人) が受講したにもかかわらず、 国家資格合格者が 239 人 (前年度 336 人) と、 前年度に比べ 97 人も減っていたことが6月 12 日、 分かった。 募集定員 1600 人のうち 400 人の枠は、 国家資格ではないものの、 受講してレポート提出や確認テストを受ければ消費生活コンサルタント資格も取得できる講座としたが、 消費生活コンサルタント資格保有者も 145 人に留まり、 これらを含めて実際に消費生活相談員として就職した人は 38 人に過ぎなかった。 相談員の奪い合いで報酬引き上げが求められる一方で、 相談員人件費に活用できる交付金の活用期限 (原則7年最長 11 年) が終了する自治体が 2024 年度以降 2027 年度までに約 400 ある。 予算の9割を相談員人件費が占め、 事業費に国の交付金を活用している自治体も少なくない。 国からは 2026 年 10 月からの消費生活相談 DX 化に向け、 これまで国が供与してきた専用端末・専用回線に代わるパソコンやセキュリティを確保したインターネット回線の整備が自治体に求められ、 自治体から地方消費者行政強化交付金推進事業分の継続や恒常的な財政措置を求める切実な訴えも出ている。 2023 年度の消費者被害・トラブル推計額が 8.8兆円 (前年度 6.5兆円) に増加する中、 地方自治体の相談体制をどう維持継続していくのか。 後継の財政支援策を示せないままでは国が補助金を打ち切る分野というメッセージを与えかねないという指摘もある。 真摯に検討し新たな具体策を示すべきだ。(相川優子)
2024年度改定基本計画工程表を公表
機能性表示食品の制度見直し追加
他は変更なく「前年の取組引き続き実施」
消費者庁は6月 14 日、 2024 年度改定消費者基本計画工程表を公表した。 意見募集には 11 団体、 個人 14 人 (この他無記名 52 件) から 260 件の意見が寄せられたが、 変更はほとんどなく 「『機能性表示食品をめぐる検討会』 で示された方向性を踏まえた制度の見直し」 が追加されたに過ぎない。 特商法の抜本改正、 深刻な消費生活相談員不足の原因分析や解消のための方策、 消費生活相談 DX 化で後退させないための財政支援策の検討などを求める数多くの意見が出されたが、 変更はなく、 2024 年、 2025 年以降とも、 ほどんどの項目で 「前年の取組を引き続き実施」 とされている。(相川優子)
景表法ステマ規制 初の行政処分
「星5」投稿を診療所受付で依頼
確認後インフル予防接種代を割引
「星5」 か 「星4」 の高評価の口コミ投稿を受付で依頼し、 投稿確認後にインフルエンザの予防接種料金を割り引いていたとして、 消費者庁は6月7日、 医療法人 「祐真会」 (東京都大田区) に対し、 景品表示法違反でこれらの投稿を速やかに削除するよう措置命令を出した。 昨年 10 月に、 ステルスマーケティングを景表法の規制対象に追加して以降、 初の行政処分となる。 命令は6日付。 ただし、 指定告示による追加のため、 景表法違反でも課徴金の対象にはならない。(相川優子)