消費者委消費者法パラダイムシフトで中間整理
脆弱性に付加的要素組み合わせ
「つけ込み」過度の依拠は注意
内閣府消費者委員会 「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」 は9月 17 日、 9カ月 10 回の検討内容をまとめた 「中間整理」 を示した。 「消費者の脆弱性」 を正面から捉え、 脆弱性に加えて、 自律的な意思決定を阻害する側面、 消費者に不利益な結果を生じさせる側面、 事業者の主観的な意図のいずれに着目するかを含めて検討し、 その組み合わせにより規律、 介入の度合いにグラデーションを設けるとしているが、 具体的にどのような法改正につなげるのかは全く見えてこない。 「いわゆる 『つけ込む』 という言葉に過度に依拠して法制度の必要性を論じることには注意が必要。 厳格な規制のみに目が向きがち」 と注釈を盛り込んでいるが、 消費者委員会は 2017 年8月、 自ら 「知識・経験・判断力不足につけ込んで過大な不利益をもたらす契約取消権」 の創設を喫緊の課題として答申したのではなかったのか。 消費者が情報、 時間、 関心・アテンションを提供する取引も規制対象に拡大することを提言。 デジタル取引では、 ダークパターンは 「消費者の脆弱性」 を利用・作出する可能性があるとして、 リアル取引とは異なった対応が必要としているが、 消費者委員会が建議にはできず意見書で取消権などの導入検討を求めたチャット勧誘規制への言及は全くない。(相川優子)
デジタル取引 事業者が取引環境設計
ダークパターン脆弱性利用・作出
リアル取引と異なる対応必要
デジタル取引については、 事業者側が取引環境を設計・デザインすることが可能となっているという特徴を踏まえた対応、 プラットフォーム提供事業者等が重要な役割を果たしていることを踏まえた対応を課題に挙げている。
消費者が気付かない間に不利な判断・意思決定をするよう誘導するダークパターンは、 「消費者の脆弱性」 を利用・作出する可能性があるとして、 リアル取引とは異なった対応が必要とした。 消費者自身が被害に気づくことが困難であるという特徴を踏まえて規律の実効性をいかに確保するか検討することを提言。 「プロファイリングにより一般的な情報からセンシティブ情報が生成され得ることを踏まえると、 それを使って認知的な脆弱性を攻撃するようなターゲティングは許されるべきではない」 との文言を盛り込んだ。(相川優子)
改正景表法10月1日施行
故意の優良・有利誤認表示に直罰
繰り返す違反に課徴金1.5倍割増
表示を裏付ける根拠がないと知りながら効果をうたうなど、 故意に優良誤認表示や有利誤認表示を行った行為者、 法人に 100 万円以下の直罰を導入する改正景品表示法 (2023 年5月 17 日公布) が 10 月1日から施行される。 10 年以内に違反を繰り返した事業者の課徴金算定率を 1.5 倍に割増し、 4.5%に引き上げる。 違反行為を早期に是正するために、 違反の疑いがある表示をした事業者に消費者庁が通知をし、 事業者が自ら作成した 「確約計画」 を消費者庁が認定した場合は、 措置命令や課徴金納付命令を行わない 「確約手続」 も併せて導入される。 運用基準には、 消費者に、 その購入額の全部または一部について返金することは、 確約計画認定の要件を満たすために有益で、 重要な事情として考慮されることが盛り込まれている。(相川優子)