公益通報者保護制度見直し
刑事罰「解雇」「懲戒」に限定導入
「配置転換」「降格」意見分かれる
公益通報者保護制度検討会で 11 月6日、 公益通報を理由とする不利益取り扱いについて、 「解雇」 と 「懲戒」 に限定して刑事罰を導入する案が消費者庁から提案され、 ほぼ合意されたものの、 それ以外の 「配置転換」 や 「懲戒ではない降格、 減給」 などは意見が分かれている。 「裁判実務で最も困っているのは配置転換」 「日本の雇用慣行では解雇や懲戒は例外的。 これではすり抜けられる」 「罰則対象外の報復行為が行われる看過できない事態が生ずる」 「行政措置を導入し、 間接罰にできないか」 などの意見が出ている。 解雇や懲戒以外の不利益取り扱いにどう対応できるかが焦点だ。 公益通報者の探索行為は、 罰則の対象とはせず、 現行では内部通報体制整備義務の内容として法定指針に盛り込まれている探索防止措置を法律の条文に格上げして、 探索行為禁止規定を追加する方向だ。 11月 18 日、 立証責任の転換や内部通報体制整備義務違反への対応などを議論し、 12 月4日に報告書案が示される。(相川優子)
公益通報者の探索禁止
消費者庁、法律条文案を提示
公益通報者の探索の禁止については、 現行の指針の規定を法律に格上げして、 条文で明確にする案が消費者庁から提案された。 同日、 消費者庁が提案した法律の条文案は、 「事業者は、 正当な理由がなく、 公益通報者である旨を明らかにすることを要求することその他の公益通報者を特定することを目的とする行為をしてはならない」 (囲み参照)。 「公益通報者を特定することを目的とする行為」 とは、 公益通報者である旨を明らかにすることを要求することの他に、 例えば、 公益通報者が誰か知っていそうな者に、 心当たりがあるか質問する行為や、 メールの履歴を閲覧して確認する行為などが考えられると同庁は説明。 「正当な理由」 の例に、 通報内容がどこの部署に関するものかがわからず、 ある程度特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないやむを得ない場合、 通報内容から、 通報者と被通報者が非常に近い関係にあることがわかり通報者を不利益の取り扱いや探索行為から保護する必要性が高い場合に、 窓口等で事前に名乗るよう促す行為―などを挙げた。(相川優子)
ステマ行政処分3件目
大正製薬「健康食品」に措置命令
課徴金対象外、違反認定期間売上4億円
インフルエンサーに金銭や商品を提供して依頼した投稿であるにもかかわらず、 事業者の表示 (広告) であることを表示せずに自社サイトに掲載したとして、 消費者庁は 11 月 13 日、 大正製薬に対し景表法違反 (指定告示ステルスマーケティング) で措置命令を出した。 資本金が 298 億円を超える大企業、 健康食品への適用はいずれも初めて。 違反認定期間 35 日間の売上額は約4億円だが、 指定告示のため課徴金の対象にはならない。(相川優子)