公益通報者保護法見直しで消費者庁案
刑事罰 立証責任の転換ともに
「解雇」「懲戒」に限定
消費者庁は 12 月4日、 公益通報者保護法を見直してきた検討会で、 公益通報による 「解雇」 と 「懲戒」 に限定して刑事罰を導入し、 公益通報から1年以内の 「解雇」 と 「懲戒」 のみ、 公益通報を理由に行われたことの立証責任を労働者から事業者に転換する案を示した。 不利益な配置転換については、 日本の労働慣行や他法律の状況を注視しつつ今後検討するとした。 減給を伴う配置転換などの扱いは、 意見が対立したままだ。 「日本の労働法法制の成熟や進捗を待っているようではグローバルな要請に追いついていかない」 「配置転換という形の報復行為が今後も後を絶たず、 司法による救済も困難な状況が依然として続くことになると、 さらに踏み込んだ立法が必要」 などの意見が学識経験者から出ている。 公益通報対応業務従事者指定義務違反に、 勧告に従わない場合の命令や立入検査、 改善命令に従わない場合の刑事罰を導入。 保護対象に業務委託関係にあるフリーランスを追加する。 委員の多くが、 合意を得た内容について、 来年通常国会での法改正を求めた。(相川優子)
解約料の実態に関する研究会が報告書
損失補填目的以外の解約料に対応を
価格差別や解約抑止、売上安定化
消費者庁の 「解約料の実態に関する研究会」 が 12 月 11 日、 報告書をまとめた。 解約料は事業者の 「損失補填」 目的のみではなく、 キャンセル料は 100%だが価格が非常に安い航空チケットなど、 同じものを異なる価格で販売する 「価格差別」 に用いられていた。 「解約抑止」 や 「売上安定化」 目的でも使われていた。 報告書は、 それぞれの目的で設定された解約料の特徴に応じたルールのあり方を検討することを提言。 損失補填目的以外の解約料は、 目的が合理的で、 契約料の設定が必要・有効かという観点からアプローチすることや、 解約料のルールを契約内容だけでなく、 情報提供を含めた手続き面からもアプローチすることが考えられるとしている。(相川優子)
電気・ガス契約 若年層でトラブル増加
消費者庁、国センが注意喚起
冬場の電気やガス使用量の増加に合わせて、 料金の見直しのための契約先変更を検討する人も増える時期だ。 近年は、 電気・ガスの契約トラブルについて、 特に 10~20 歳代の若年層の割合が増加傾向にある。 PIO‐NET (全国消費生活情報ネットワークシステム) によると、 電力の小売りに関する相談について 20 歳代以下の割合は昨年度で 25.4%、 今年度は 25.3% (10 月 31 日時点) で、 ガスの小売りについては昨年度が 26.2%、 今年度は 10 月 31 日時点ですでに 30.2%にのぼる。 他の年代が電話勧誘販売なども一定程度の割合を占めているのに対し、 若年層からの相談の販売購入形態は、 訪問販売が8割近くを占めるという特徴を示す。 引っ越しなどで新生活を始める時期は、 悪質事業者に狙われる恐れがあることから特に注意が必要として、 消費者庁と国民生活センターは 12 月、 注意喚起を行った。(原田恵理)