消費者庁の特商法行政処分「激減」
本年度わずか3事案6事業者
消費者庁取引対策課の行政処分件数が激減している。 特定商取引法で業務停止命令が出された件数は 2019 年度 21 件、 2020 年度は 27 件だったが、 2021 年度は 10 件に減った。 2022 年度は 10 月 14 日の公表分を含めても、 わずか6件。 一度に4事業者の行政処分が行われているため、 3事案に過ぎない。 預託法の処分件数は 2018 年以降ゼロ件。 全国の消費生活センターに寄せられる相談件数は年間約 90 万件。 あまりに少なすぎる。 2016 年改正 (2017 年 12 月1日施行) では、 業務禁止命令を追加し、 業務停止命令期間も最長1年を2年に延長、 罰則を強化し、 法執行の強化で消費者被害を抑止する方向性が打ち出された。 同一事業者に、 同時に指示や役員の業務禁止命令を出しているため、 処分件数が多く見えるが、 わずか 3 事案 6 事業者では十分に機能しているとは、 言い難い。 職権探知や調査能力に問題はないのか。 執行体制を見直し強化する必要はないのか。(相川優子)
特商法の抜本改正へ全国連絡会結成
SNS等ネット通販にクーリング・オフを
「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会」 が 10 月7日、 全国消費者団体連絡会、 日本消費者協会、 主婦連合会など 43 団体個人 18 人で立ち上がった。 特定商取引法の 2016 年改正以降も、 高齢者の訪問販売の相談件数はコロナ下にもかかわらず高水準で、 SNS を用いたネット通販の消費者トラブルは5万件を超え、 電話勧誘販売の相談件数を上回っている。 マルチ商法では 20 歳代の相談件数が4割を超えている。 同日の結成式には、 テレビ会議で約 300 人が参加。 2016 年改正法の施行後5年 (2022 年 12 月1日) 見直し規定に基づき、 次の改正で実現すべき目標に、 ①事前に拒否した訪問販売や電話勧誘の禁止②SNS 等のネット通販へのクーリング・オフや契約取消権、 勧誘規制の導入③マルチ商法への開業規制―などを掲げた。 さらに多くの団体や個人に広く参加を呼びかけ、 全国規模で改正のための運動を展開していく方針だ。(相川優子)
特商法契約書面電子化で報告書
紙で承諾の「控え」交付
スマホ、政省令でどう規定
消費者庁の 「特定商取引等の契約書面の電子化に関する検討会」 は 10 月6日、 会議は開催せず委員間のメールのやりとりで、 報告書を了承した。 契約書等を電子データで送信することを消費者が承諾した場合は、 オンライン英会話などオンライン完結型の特定継続的役務提供を除き、 「紙」 で控えを交付する。 7月 28 日の前回会議で示された報告書原案からの大きな変更点はなかった。 ただし、 スマートフォンしか持っていない消費者は、 電磁的交付の対象外とする方針は、 検討会の中での消費者庁の発言にとどまっており、 政省令にどう規定されるかが注目される。 2021 年改正法の契約書面電子化部分は、 2023 年6月 16 日までに施行される (他は 2022 年6月1日に施行済み)。(相川優子)