消費者契約法改正案国会へ
自由な判断妨げた場合の包括規定なし
消費者契約法と国民生活センター法の一部改正案が 11 月 18 日、 閣議決定され、 臨時国会に提出された。 2019 年6月 15 日以降の契約に適用される霊感商法等取消権は、 現行よりは立証しやすく一部要件が変更されたが、 厳格な規定であることに変わりはない。 マインドコントロール下で自由な判断ができない状態につけ込んだ場合の包括的な取消権は盛り込まれていない。 取消権の行使期間も、 霊感商法等取消権のみ、 契約から5年を 10 年に、 追認できるとき (マインドコントロールから脱したとき) から1年を3年に変更した。 マインドコントロールから脱するまでに5年以上かかるケースがあることは、 相談事例の分析から明らかにされているが、 追認できるときから3年の変更は、 デート商法取消権等とバランスを欠いていないか。 国民生活センター法改正案では、 同センターが事業者名公表を行う場合の根拠規定を整備する。(相川優子)
国民生活センター法改正案
事業者名公表 根拠規定を明文化
国民生活センター法改正案は、 地方自治体から提供を受けたり、 収集した消費生活相談情報を再発防止に役立てるため、 察知した段階で、 事業者名等を公表するための根拠規定を整備する。
現行法では、 地方自治体から提供を受けた情報や収集した情報を分析して、 国民生活の安定や向上のために必要と認める場合は、 その結果を公表できることが規定されていた。
政府寄付適正か新法案の概要公表
民法債権者代位権に特例
将来の扶養費用も返還請求可
政府は 11 月 18 日、 世界平和統一家庭連合 (旧統一教会) の問題に対応するため、 消費者契約法の対象とならない寄付一般を適正化するための 「寄付適正化新法案」 の概要を公表した。 消費者契約法が規定する 「消費者を困惑させた場合の取消権の一部」 をそのまま取り込む。 新たに、 自宅や敷地を売ったり借金をして寄付を要求することを禁止するが、 寄付の取り消しの対象とはしていない。 子や配偶者が、 子や配偶者を扶養すべき本人の義務が果たされていないことを理由に、 本人に代わって寄付を取り消して、 取り戻すことができる民法の債権者代位権に特例を設け、 期限が来ていない将来分も対象にするが、 高額な寄付を取り戻すほどの大きな額は見込めない。(相川優子)