ステルスマーケティング検討会が報告書案
広告であること隠す表示を禁止
景品表示法「告示」に指定
消費者庁のステルスマーケティング検討会 (座長、 中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授、 11 人) は 11 月 29 日、 報告書案をまとめた。 「事業者の表示であるにもかかわらず、 消費者が事業者の表示と判別できない表示」 を景品表示法 5 条 3 項の 「告示」 に指定して、 不当表示として禁止する。 インフルエンサーや著名人が企業から報酬を得て依頼された場合だけでなく、 商品やイベントの招待券などをもらって動画や SNS で発信する場合や、 一般消費者でも商品や割引券をもらって事業者の意に沿ったレビューを書き込む場合は、 「A 社から商品の提供を受けて投稿している」、 あるいは 「広告」 「宣伝」 「プロモーション」 「PR」 と記載するなど、 消費者が判別できる分かりやすい表示が求められることになる。 事業者の表示に該当するかどうかは、 実態を踏まえて総合的に判断される。 「プロモーション、 PR では分かりにくい」 「従業員がなりすました場合などは関係性を開示すべき」 などの意見が出ている。 措置命令の対象になるのは広告主で、 表示をしたインフルエンサーや不正レビューを募ったブローカーなどは規制の対象にならない。 課徴金や返金の対象にもならない。 報告書案への意見募集が 12 月2日から 15 日 (郵送の場合は同日必着) まで行われ、 年内に報告書をまとめる。(相川優子)
寄付不当勧誘防止新法案国会へ
被害救済広がらず、未然防止も不十分
配慮義務 行政規制の対象外
政府は 12 月1日、 世界平和統一家庭連合 (旧統一教会) の問題に対応するための 「寄付不当勧誘防止新法案」 を閣議決定し、 国会に提出した。 寄付を勧誘する際の法人への配慮義務を盛り込んだが、 行政規制の対象にはなっていない。 禁止行為を借金、 自宅・敷地の売却から、 生活の維持に必要な工場や田畑に広げたものの、 田畑の寄付や老後の資金などは対象外。 処分して献金することを要求することしか禁止されず、 取り消しはできないままだ。 禁止行為を行政規制の対象にした点は評価できるものの、 要件は多数被害が継続するおそれが 「著しい」 と認める場合とされている。 勧告までに被害が相当数積み上がる必要があり、 公表できるのは、 勧告時ではなく勧告に従わずに措置命令を出した時点だ。 被害救済面は、 債権者代位権で返還請求できる範囲に将来分が含まれた程度で、 ほとんど広がっておらず、 未然防止も不十分だ。 施行後に行われた寄付が対象で、 過去にさかのぼって被害を救済することはできない。(相川優子)
新成年の消費者トラブル
脱毛エステが急増、国セン
今年4月1日から成年年齢が引き下げられ、 18 歳以上が大人となって以降8カ月が過ぎた。 引き下げに伴う 18・19 歳の若者の消費者トラブル急増が懸念されてきたことを受けて、 国民生活センターは 11 月 30 日、 10 月末日時点での 18・19 歳の消費者相談の状況をまとめた。 18・19 歳が契約当事者となったトラブルの相談件数は、 2022 年度の 10 月末時点で 5108 件となり、 前年度の同時期と比較して 259 件増加した。 最も相談が多かったのは 「脱毛エステ」 の 716 件で、 昨年度の 99 件 (10 位) から大幅な増加となった。 このほか、 昨年同時期と比較して大きく増えたのは 「医療サービス」 の 116 件で前年度比 72 件増、 「コンサート」 の 94 件が前年度比 56 件増だった。(原田恵理)