改正特商法 契約書面電子化で政省令案
報告書と齟齬、「スマホ」も対象
クーリング・オフ読み取れるのか
2023 年6月 15 日までに施行される改正特定商取引法の 「契約書面等電子化」 部分の政省令案が公表され、 12 月 29 日まで意見を募集している。 消費者庁の検討会報告書は、 電磁的提供を認める機器の画面サイズに 「書面と同等の一覧性 (=面積)」 を求め、 消費者庁はスマートフォンしか持っていない人は対象外とする方針を示していたが、 スマートフォンも認める内容に変更されている。 紙の契約書面では赤字赤枠8ポイント以上で記載することが義務付けられているクーリング・オフ規定を、 手のひらサイズのスマートフォンで読み取ることができるのかが問われる。 オンライン完結型の英会話教室など以外は、 電磁的提供を受ける 「承諾の控え」 が 「紙」 で交付される。 承諾の前に 「申込者の電子機器のファイルに記録されたときに到達したものとみなされ、 8日 (マルチ商法などは 20 日) を経過した場合はクーリング・オフができなくなること」 を説明しなければならないとされているが、 口頭でよく、 紙の 「承諾の控え」 や電子メール本文に記載されるかどうかは不明確だ。 電磁的提供後に事業者が、 電話か電子メールで到着したか、 閲覧できたかを確認することを盛り込んだ点は高く評価できる。 消費者からメールの返事がない場合の対応方法も明確にしてほしい。(相川優子)
寄付不当勧誘防止法 厳格すぎる配慮義務「勧告」要件
判決など著しい権利侵害客観的に明らか
かつ、多数被害で繰り返し容易に予見
寄付不当勧誘防止法が 12 月 10 日、 与野党の修正合意で賛成多数で成立した。 配慮義務に 「十分に」 を追加し、 順守しなかった場合の勧告、 勧告に従わなかった場合の公表などを盛り込むことで決着したが、 修正条文の勧告要件は、 あまりに厳格すぎる規定だった。 「寄付者の権利が侵害されたことを認定した判決があるなど支障が出ていることが客観的に明らかになっている場合で、 寄付の勧誘が組織的、 計画的に行われ、 現に多くの被害が出て、 将来的にも被害が繰り返されると容易に予見される場合」 との解釈が、 立憲民主党の修正案提出者から説明された。 施行後に行った献金で、 この要件を満たすにはどれほど被害が積み上がる必要があるのか。 しかも、 公表は勧告に従わなかった場合だ。 被害救済も、 未然防止も及第点には程遠い。 同法は 12 月 16 日に公布され、 1月5日に施行される。 ただし、 借金や自宅、 田畑、 工場などを処分させて寄付を要求する行為の禁止規定、 法人への報告徴収・勧告・公表 (配慮義務を順守しない場合含む)、 禁止行為違反で勧告に従わなかった場合の措置命令、 措置命令に従わなかった場合の罰則は、 公布から1年を超えない政令で定める日から施行される。(相川優子)
ジャパンライフ9回目の債権者集会
「1%超えるが2%に届かず」配当見通し
終結せず、来年5月末送金予定
ジャパンライフの9回目の債権者集会が 12 月7日、 東京地裁中目黒庁舎であった。 山口隆祥元会長個人の破産管財業務終結がずれ込んだため、 今回も終結できなかった。 3000 万円程度の回収が見込まれるため、 次回、 3月 22 日の債権者集会で破産決定を行い、 配当率は、 「1%を超えるが、 2%には届かない」 との見通しが報告された。 5月末ころに配当金が送金される見通しだが、 破産手続き開始決定 (2018 年3月1日) から配当まで、 5年以上かかることになる。 解約を阻止したり、 ノルマを達成したりした場合の奨励金について、 幹部社員への支払いは認められなかったが、 一般社員には支払われることになった。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は 「被害者からすると納得がいくものではない」 と話している。(相川優子)