芸能スクール入学金38万円不返還差止で控訴審判決
東京高裁「入学できる地位の対価」認めず
「法規制ある大学とは異なる」
特定適格消費者団体 「消費者機構日本」 が、 芸能人養成スクールの入学時諸費用 38 万円不返還条項の差し止めを求めた控訴審判決で、 東京高裁 (増田稔裁判長) は4月 18 日、 1審判決が 「入学することができる地位の対価」 12 万円とした判断を否定し、 「入学し得る地位を取得するための対価を認めることはできない」 との判断を下した。 返金額を受講者が退学した場合の平均的損害額で判断した。 ただし、 平均的損害額として、 1 審判決が認めなかった講師派遣の業務委託費用や人件費 (1審判決は教材費と宣伝材料写真撮影代のみの1万円) も認め、 7万円を超える不返還条項は違法とした。 オーディション合格者を受講させる芸能人養成スクールの入学時諸費用は、 「法令による規制や所轄官庁の監督を受ける大学と同列に論ずることはできず、 大学の入学金と同様に入学し得る地位の対価とみるのは困難」 とした点は、 今後、 同種の消費者紛争の解決や未然防止に大きな影響を与えそうだ。(相川優子)
遊戯施設のトランポリンで頚椎骨折
フォームピット国際規格満たさず
遊技施設のトランポリンで 2021 年に発生した頚椎骨折事故は、 宙返りして飛び込んだフォームピット (=図参照) の深さが 0.8mと国際規格 (1.524m以上) を満たしておらず、 国際規格では頭や肩からの着地は許可していないことが4月 20 日、 消費者安全調査委員会 (消費者事故調) がまとめた報告書で明らかになった。 消費者事故調は、 国際規格に準じた日本の規格の策定を施設運営者に促すことを経産省に求めた。 ただし、 日本では施設運営者の業界団体すらなく、 業界団体を組織し、 国際規格を購入して翻訳するところから始める必要があり、 早くても数年はかかると見られる。 当面は、 指導者がいる施設を選び、 適切な指導を受けない段階で宙返りをしない、 1つのトランポリンを複数人で利用しないよう呼びかけている。(相川優子)
寄付不当勧誘防止法 処分基準を公表
配慮義務違反の勧告要件厳格なまま
4月から行政措置、 罰則部分の規定が施行された寄付不当勧誘防止法の処分基準が4月 17 日、 ようやく公表された。 3つの配慮義務が順守されなかった場合に勧告できる要件の1つ 「著しい支障が生じていると明らかに認められる場合」 の例に、 配慮義務違反を認定して不法責任を認めた裁判が存在する場合に加えて、 民事調停や国民生活センターの重要消費者紛争解決手続 (ADR) で相手の弁明を得た上で、 第三者の判断により著しい支障が生じていることが客観的に認められた場合―を追加した。 ただし、 旧統一教会 (世界平和統一家庭連合) 問題では、 相手が交渉のテーブルにつかず事実に争いがあるために裁判で争われてきた経緯がある。 実質的に厳格な要件は変わらないままだ。(相川優子)