消費者委員会 2つの報告書で建議出せず
チャット勧誘に勧誘規制求める意見
不実告知等禁止、契約取消権を
内閣府消費者委員会は8月 10 日、 「チャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思形成に影響を与える行為」 に勧誘規制導入の検討を求める意見、 「破綻必至商法」 への行政による破産手続開始申立など行政による消費者被害拡大防止等の措置が可能となる制度整備・拡充に向けた検討が必要とする意見を出した。 同委下部組織の2つのワーキング・グループがそれぞれ1年以上かけて検討し報告書をまとめたが、 建議を発出することはできなかった。 チャット勧誘規制では、 再勧誘や不実告知、 故意の事実不告知など特に不当性の強い行為を禁止行為とし、 不実告知等で消費者が誤認した場合の契約取消権やクーリング・オフの導入を求めている。 委員からは 「チャットを利用した勧誘の相談件数が PIO‐NET にキーワードがなく明確に把握できないとしても、 被害が多発し救済が困難なのは明らか。 一刻の猶予も許されない」 「建議に値する内容」 「消費者庁は危機意識が欠如しているのではないか」 など厳しい意見が出ている。 消費者庁が意見に対応するかどうかが、 今後の焦点だ。 報告書をまとめても建議につなげることができない消費者委員会のあり方、 存在意義も同時に問われている。(相川優子)
見守りネットワーク報告書
情報共有のあり方を検討、消費者庁
消費者庁新未来創造戦略本部は8月、 消費者安全確保地域協議会 (見守りネットワーク) の 「見守り活動」 について、 メールを活用した情報共有の試行運用を行ったプロジェクトの結果を報告した。 同プロジェクトは、 消費者トラブルの早期発見・早期解決に向けて、 最新の情報を構成員の間で迅速に共有・活用できるようにすることを目的に行われた。 徳島県内の協議会を対象とした事前アンケートでは、 「情報共有の手段は郵送のみ」 と捉えていた事務局と、 「メールで可能」 と考えていた構成員の間に認識のずれがあることが判明したことを受けて、 試行運用では、 県内の5町 (うち4町は市との広域連携) 1村でメールによる情報発信を行った。 実際に業務を担当した事務局からは 「業務の効率化につながった」 や 「気軽に連絡が取れるようになった」 などの意見が、 構成員からは 「紛失の恐れがない」 「組織内で共有しやすい」 などの意見があった。 一方で、 組織内の年齢層やパソコン、 スマホなど電子媒体の活用状況によっては、 利便性や有用性に差が出ることが分かった。(原田恵理)
「定期購入」10万件超、全体の1割
国セン、2022年度消費生活相談状況
国民生活センターは8月、 2022 年度の消費生活相談状況を公表した。 同年度の相談件数は 89.6 万件で、 前年度と比較して約5万件の増加となった。 特に 「定期購入」 に関する相談は 10.2 万件で、 前年度よりも約4万件増加し、 相談件数の約1割を占めた。 契約当事者を年代別に見ると、 依然として 70 歳以上の割合が最も多く、 23%を占める結果となった。 商品サービス等別にみると、 前年度に比べて SNS 広告をきっかけとした 「化粧品」 や 「エステティックサービス」、 身に覚えのない商品が届くなどの 「商品一般」 や行政機関をかたる 「その他行政サービス」、 クレジットカードの入退会などに関する 「その他金融サービス」 に関する相談の増加が目立った。 販売購入の形態別では 「通信販売」 の割合が最も多く、 全体の4割を超える結果となった。(原田恵理)