消費生活相談デジタル化
システム面の設計・移行準備を先行
12月に自治体集め会合 消費者庁長官
消費生活相談のデジタル化と併せて、 相談業務平準化のための広域連携や相談員人事制度の変革などを提案してきた消費者庁は 11 月7日、 地方自治体から寄せられた約 900 件の意見や質問を踏まえ、 「当面は、 システム面の設計・構築と移行準備を先行させ、 2023 年度末以降、 調達する具体的な機能に沿って、 業務体制面の整備を進め情報提供していく」 方針を、 同日開催された消費生活相談デジタル化アドバイザリーボードで示した。 新井ゆたか長官は9日の定例会見で本紙の質問に答え、 12 月初旬に地方自治体を集め、 寄せられた意見やアドバイザリーボードで示された方向性を共有し、 次に進めるための会合を開催する方針を明らかにした。 地方自治体からは、 システム面でも、 「相談の予約は、 さらなる人員確保が必要で現体制では実現不可能」 「数日先の予約になる可能性もあり、 電話の不通率減につながるのか不明」 「電話がつながらない状況はなく、 緊急の必要性はない」 「一律導入は反対」 「メール相談のみの解決は難しく、 メールのみで解決できない場合に苦情が出ている」 「行政組織としての決裁システムが組み込まれていないのは問題」 など多くの意見が出ており、 現場の声を反映したシステム設計が求められる。(相川優子)
2023年度消費者庁補正予算案
過去最大70億円
PIO-NET刷新に50億円
消費者庁の 2023 年度補正予算案が 11 月 10 日、 閣議決定された。 総額は過去最大の 70 億円。 過去最大の消費生活相談をデジタル化するために PIO‐NET (全国消費生活情報ネットワークシステム) を廃止し、 新システムを導入するための費用 50 億円が盛り込まれたためだ。 ただし、 パソコン上で電話を受ける 「テレフォニーシステム」 や音声入力・要約機能、 従来通り相談件数を把握できる機能などが求められているが、 実現にはギリギリの額と見られ、 どこまで対応されるのか現時点では明らかにされていない。 地方自治体の消費者行政を支援するための地方消費者行政強化交付金は、 15 億円が措置された。 このうち2億円は、 「悪質商法対策特別枠」 で、 補助率 10 分の 10 で活用できる。 強化交付金の補助率は原則2分の1で、 活用できる事業が限定され、 使いにくい問題が指摘されてきた。 消費生活相談のデジタル化に向け、 地方への財政支援策を早急に示すことが求められる。(相川優子)
改正公益通報者保護法施行1年半
内部通報体制 1万社を調査
消費者庁は 11 月9日、 上場企業約 4000 社を含む1万社の内部通報体制を 12 月に調査すると公表した。 2022 年6月1日に改正施行された公益通報者保護法は、 従業員が 301 人以上の事業者に、 「公益通報対応業務従事者を定め、 公益通報に適切に対応するための必要な体制整備、 必要な措置を講じること」 を義務付けたが、 罰則は、 公益通報対応業務従事者に守秘義務違反があった場合の 30 万円以下に過ぎない。 施行後1年半を契機に実態を調査し、 4月に結果を公表する。(相川優子)