消費者問題に関連する用語
消費者
消費活動をする人。消費活動とは、商品を購入したりサービスを利用したりすること。
消費者問題
消費者と事業者の間に起こるトラブルのこと。
商品やサービスを提供する事業者に比べ、消費者はそれらの情報量が少なく、交渉力もない。その結果、消費者は意図しない消費行動をとってしまい、不利益を被ってトラブルに発展する。
消費者団体
消費者が被害を受けないよう、消費者に代わって、政府や地方自治体、企業に対して法律・条例の改正、真摯な消費者対応などを求める活動をしている団体のこと。
消費生活センター(消費生活相談窓口)
地方公共団体が運営。全国に約1300カ所ある。消費者から相談を受け付け、事業者とのトラブル解決を支援する。相談は無料。
消費生活相談員
地方公共団体の消費生活センターなどで、消費生活相談やあっせんに対応する専門職。国家資格「消費生活相談員資格試験」(消費生活アドバイザー資格、消費生活専門相談員資格)に合格した人、市町村長などに同等以上の知識、技術を有すると認められた人に資格が与えられる。
消費者教育
消費者の自立を支援するために行う消費生活に関する教育。幼児から高齢者までのすべての消費者が、消費生活に関する知識を習得し、適切な行動に結びつけるための実践的能力を育成する。
行政、企業、市民団体などが、消費生活に関するさまざまなテーマの教材を開発しているほか、講師を派遣したり講座を実施したりしている。
適格消費者団体
差止請求権を行使するために必要な適格性を有する消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けた法人。不当な勧誘、契約条項、表示などを事業者にやめるよう求める。令和5年10月末時点で、全国に25団体ある。
特定適格消費者団体
適格消費者団体のうち、新たな認定要件を満たす団体として内閣総理大臣の認定を受けた法人。消費者に代わって被害回復裁判手続きを行い、事業者から被害金額を取り戻す。令和5年10月末時点で、全国に4団体ある。
特定保健用食品(トクホ)
からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含んでいて、その食品を摂取することによって、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品のこと。
特定保健用食品として販売するには、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければ、販売することができない。
許可を得た食品は、トクホのマークを表示することができる。
機能性表示食品
国が定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出ることで、機能性を表示することができる制度。
特定保健用食品(トクホ)と異なり、国による審査はなく、事業者が自らの責任の下、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要がある。
消費者基本計画
消費者政策を、計画的に推進するための基本的な計画。五か年計画。令和2年度から令和6年度を計画期間とする「第4期消費者基本計画」は、令和2年に閣議決定されたが、コロナ禍により消費者を取り巻く環境が大きく変わったことから、令和3年に変更した。「消費者基本計画」の策定は、消費者基本法第9条で義務付けられている。
消費者基本計画工程表
消費者基本計画に基づいて、関係府省庁などが講ずべき具体的施策について、取り組み予定を示したもの。毎年度改定される。
188(いやや)
消費者庁が設置する「消費者ホットライン」。覚え方は、「188(いやや)泣き寝入り」。消費生活相談を受け付ける。電話番号「188」をプッシュすると、最寄りの市区町村まだは都道府県の相談窓口が案内される。相談窓口につながった時点から通話料金が発生。相談は無料。
イヤヤン
消費者庁が設置する消費者ホットライン「188」(いやや)のイメージキャラクター。一般公募され、平成30年に発表された。イヤヤンは、「泣き寝入りは超いやや!」が口癖の蝶々。危険な製品でケガをした人や強引な勧誘に困っている人を見かけると、消費者ホットライン188を教える。
PIO-NET(パイオネット)
全国消費生活情報ネットワークシステムの略称。国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)を収集している。
消費者月間
毎年5月に、消費者団体や事業者、行政が一体となって、消費者問題に関する教育・啓発などを集中的に行う。消費者庁により毎年、統一テーマが決められ、シンポジウムや講演会、街頭啓発キャンペーンなどが実施される。
製品安全総点検月間
毎年11月、経済産業省などが製品を安全に使用するため点検するよう消費者に呼びかける。ポスターの掲示、セミナーの開催、製品安全対策優良企業表彰など実施される。
食品ロス削減月間
毎年10月に、消費者庁、農林水産省、環境省が食品ロスの削減の取り組みを、集中的に呼びかけ推進する。2019年に成立した「食品ロス削減推進法」で定められた。
消費者教育コーディネーター
消費者教育を担う関係者との間に立って連携体制を構築し、地域の特性に応じた消費者教育を実現する者。「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(平成25年閣議決定、令和5年変更)で、コーディネーターの育成が掲げられている。
消費者教育教材資料表彰
公益財団法人消費者教育支援センターが実施。行政・企業・消費者団体等が作成した消費者教育教材を対象に、学校の授業や講座で利用できる消費者教育の教材や資料を募集し、優秀な教材資料を表彰。最も優れた教材に、内閣府特命担当大臣賞、消費者庁長官賞、消費者教育支援センター理事長賞を授与する。
製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)
経済産業省による、企業や団体の製品安全に関する優れた取り組みを表彰する制度。2007年に始まった。PSアワードの「P」はProduct(製品)、「S」はSafety(安全)。製品安全対策優良企業を受賞すると、「製品安全対策優良企業ロゴマーク」が使用できる。
消費者教育ポータルサイト
消費者教育に関する情報を探すことができる消費者庁のウェブサイト。気になるキーワードから教材が探せたり、消費者教育の講師派遣に関する情報検索ができたりするほか、事業者などが作成した消費者教育の教材を利用した教育活動の事例が掲載されている。
食品ロス
本来食べられるのに、捨てられてしまう食品のこと。農林水産省によると、食品ロスの量は523万トン。(令和3年度推計値)この量を日本の国民一人当たりに換算すると、お茶碗約1杯分(約114g)のご飯を毎日捨てていることになる。
食品ロス削減の日
10月30日。019年に成立した「食品ロス削減推進法」で定められた。
食品ロス削減推進表彰
食品ロスの削減に効果的かつ波及効果が期待できる、優良な取り組みを行った団体、企業、学生などを表彰する制度。令和2年度より実施。消費者庁、環境省の主催で行われる。
ドギーバッグ
レストランなどで食べきれず残してしまった料理を持ち帰るための容器のこと。食品ロス対策の一つとして、普及が進められている。
遺伝子組み換え食品・遺伝子組み換え作物
別の生物の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子を、その性質を持たせたい植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせる技術を用いて開発された作物や加工食品。遺伝子組み換え作物のことを、Genetically Modified Organismの頭文字「GMO」や「GM作物」と略されることがある。
日本で流通している遺伝子組み換え食品は、食品衛生法に基づく安全性審査を経ている。
消費者問題の関連機関・団体
消費者庁
内閣府の外局。消費者庁および消費者委員会設置法に基づき、平成21年9月1日に設置された。日本の消費者行政を司る機関。
内閣府特命担当大臣(消費者および食品安全担当)
「消費者担当大臣」「消費者食品安全担当大臣」などとも言われる。2009年9月1日の消費者庁発足時は、内閣府特命担当大臣(消費者担当)だったが、2009年9月16日より鳩山由紀夫内閣の下、同(消費者および食品安全担当)となる。
(消費者担当)2009年9月1日~同16日野田聖子氏、(以降、消費者および食品安全担当)~2010年5月28日福島瑞穂氏、~6月8日(事務代理、平野博文氏)、~9月17日荒井聰氏、~2011年1月14日岡崎トミ子氏、~6月27日村田蓮舫氏、~9月2日細野豪志氏、~2012年1月13日山岡賢次氏、~10月1日松原仁氏、~12月26日小平忠正氏、~2014年9月3日森まさこ氏、~12月24日有村治子氏、~2015年10月7日山口俊一氏、~2016年8月3日河野太郎氏、~2017年8月3日松本純氏、~2018年2月27日江﨑鐵磨氏、~10月2日福井照氏、~2019年9月11日宮腰光寛氏、~2010年9月16日衛藤晟一氏、2021年10月4日井上信治氏、~2022年8月10日若宮健嗣氏、~2023年9月13日河野太郎氏、9月13日~自見はなこ氏
消費者委員会
消費者庁および消費者委員会設置法に基づき、平成21年9月1日に設置された。内閣府の下に設けられた独立機関。消費者庁のような「外局」とは異なり、内閣府の「審議会等」として位置づけられている。組織の長は消費者委員会委員長で、委員の中から互選で決められる。
消費者庁はじめ、消費者行政に関わる関係省庁を監視し、政策などに問題がないかをチェックするのが主要な任務。問題が認められた場合は、内閣総理大臣や関係省庁の大臣、消費者庁長官に対して建議する権限を持っている。特に、内閣総理大臣に対しては、消費者安全法に基づき、報告する権限、その後の措置について報告を求める権限が付与されている。このほか、内閣総理大臣や消費者庁長官だけでなく、関係省庁の大臣からの諮問にも応じており、消費者行政に関する諸問題について討議している。
独立行政法人国民生活センター
1970年に発足(発足時は「特殊法人」)。所管は消費者庁。中央省庁や消費生活センターと連携して、消費者問題に取り組む。消費者からの相談を受けたり、消費生活センターで相談対応をしている相談員からの相談を受け付け助言したりしている。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE、ナイト)
所管は経済産業省。工業製品等に関する技術上の評価、品質に関する情報の収集や提供を行う。また、製品事故の未然防止に向けて、年間1000件以上ある事故情報をもとに、事故の再現動画を作成するなど、消費者に注意喚起している。
公益財団法人消費者教育支援センター
消費者教育シンポジウム、教員・消費者教育コーディネーターを対象にした研修会の開催や研修会への講師派遣など行う。平成9年度からは、消費者教育の優秀な教材を表彰する「消費者教育教材資料表彰」を実施。
消費者問題に関連する主な法律・制度
消費者基本法
「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立支援」を基本理念とした、消費者政策の基本となる事項を定めた法律。1968年に制定された「消費者保護基本法」が改正され、2004年に「消費者基本法」となった。所管は消費者庁。
消費者契約法
消費者契約法では、消費者と事業者との間にある情報量の格差を考慮し、事業者による勧誘行為等で消費者が誤った認識、あるいは断れない状況下などで取り交わした契約を取り消すことが定められている。また、消費者被害の拡大を防止する目的で、適格消費者団体を定義し、適格消費者団体による差止請求権を規定している。
消費者団体訴訟制度
内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者のために事業者に対して訴訟などをすることができる制度。「差止請求」と「被害回復」の二つの制度からなる。
「差止請求」は、不当な勧誘行為、不当な契約条項、不当な表示に対し、適格消費者団体が差し止め(やめること)を求めることができる制度。「被害回復」は、特定適格消費者団体が、消費者に代わって、被害の集団的な回復を求めることができる制度。
特定商取引法
特定商取引法(旧・訪問販売法)とは、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律。事業者が消費者間で特に問題になりやすい取引(7類型)を、特定商取引として定義し、事業者が守るべきルール、クーリング・オフなど消費者を守るルールを定めている。
特定商取引法で規定している取引は、①訪問販売②通信販売③電話勧誘販売④連鎖販売取引(マルチ商法)⑤特定継続的役務提供(エステ、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室が対象)⑥業務提供誘引販売取引(業務を提供するにあたって先に消費者に負担(費用等)させる取引)⑦訪問購入—の7取引。
景品表示法
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)では、商品やサービスの品質、内容、価格などを事業者が偽って表示(誇大・虚偽表示)することを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐため、景品類の最高額を制限している。不当な表示(優良誤認、有利誤認)で得た事業者の収益は、消費者庁が同法の規定に基づき、課徴金として徴取できることも定められている。
消費者安全法
消費者安全法は、消費者庁の設置と同時に制定された。消費者被害を未然に防止し、安全を確保するため、内閣総理大臣による基本方針の策定を定めるとともに、都道府県、市町村による消費生活相談業務の実施、消費生活センターの設置、消費者事故に関する情報の集約、消費者安全調査委員会による消費者事故調査の実施、消費者被害の発生、拡大防止のための措置などの措置を講じることで、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に役立てることを目的としている。2012年の改正では、所管官庁のない被害案件については、消費者庁が自ら行政処分を行うことができるようになり、2014年の改正では、地域の見守りネットワーク、消費生活センターの強化が定められている。
食品表示法
3つの法律(食品衛生法、農林物資の規格化および品質表示の適正化に関する法律(JAS法)、健康増進法)の食品の表示に関する規定を統合した。平成27年に施行。
遺伝子組み換え表示制度
2001年施行のJAS法および食品衛生法に基づき、5農産物と24加工食品群に表示が義務付けられる。
2015年からは、食品表示法に基づく内閣府令「食品表示基準」で表示が定められている。表示の義務があるのは、9農産物およびそれを原材料とした33加工食品群。2019年に制度が改正され、2023年4月から「遺伝子組み換えでない」と表示できる食品の条件が変わった。
消費者教育推進法
消費者教育の推進に関する法律。平成24年12月施行。消費者教育を総合的かつ一元的に推進するため、消費者教育の基本理念を定め、国および地方公共団体の責務などを明らかにしている。
消費者教育の推進に関する基本的な方針
消費者教育推進法第9条に基づき、平成25年に閣議決定。平成30年、令和5年に変更。消費者教育を推進するための基本的な方向、内容などを策定している。
食品ロス削減推進法
食品ロスの削減の推進に関する法律。令和元年10月施行。食品ロスの削減を総合的に推進することを目的に、国、地方公共団体の責務などを明らかにし、基本方針を策定している。